翻訳DX宣言
私たちは怒っている。
なぜあのベストセラー、翻訳が出るのに半年もかかるのか。
なぜあのインタビュー、まともな字幕がついていないのか。
なぜあの漫画、世界中の子供たちが母国語で、そして手の届く価格で読めないのか。
DX、AIがバズワードとなって久しい。
今や多くの分野で、専門知・職人知がシステム化され、
専門家とAIエージェントの適切な分業により、
高品質なものを安く提供する、という夢の時代が近づいている。
しかし翻訳はどうか。
なるほど、翻訳アプリの発達により、海外旅行での会話や、論文の内容理解で困ることはなくなった。
それら「早い翻訳」は、正確な情報の伝達を目的としている。
一方、書籍やエンタメ作品などの「遅い翻訳」の使命は、「情報の伝達」ではない。
作者の意図、あるいは登場人物の意図を、別言語の世界で再現することだ。
そのためには原文にはない情報、膨大なコンテキストが必要となる。
コンテキストはデータであり、AIエージェントはその処理を強力にサポートできる。
運転や手術をサポートできるように。
そして「遅い翻訳」はもっと早く・安くなる。
コーディングAIが発達してもエンジニアという仕事がなくならないように、
翻訳AIが発達しても翻訳家という仕事はなくならない。
そこで起こるのは、アウトプットの速度と価格の劇的な変化だ。
そして誰もが、もっと早く、もっと身近に、物語を伝え合う時代がくる。
私たちはそう信じている。
代表 和田 斉